『お祈り』

 小学2 年の頃、登校班で隣に歩いていた1 年生の女の子が手を組んでブツブツと呟いていた。「何してるの?」と聞くと、学校で嫌なことがないように祈っているとの答えだった。


 ちょうどその頃、私も名前のことで座席の近い女子にからかわれていた。この日をきっかけに私もいっしょにお祈りをするようになり、そしてその内容も日に日に増えていったのを覚えている。今となれば、些細なことだったと思えるのだけど、不思議とお祈りをすると守護神がついたかのように安心できた。

 いつこの儀式を辞めることができたのかは覚えていないけれど、こうして小さいなりに自分の身を守っていたことを懐かしく思う。